プラスチックを分解する微生物

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プラスチック生産量

世界のプラスチック生産量は、1950年には200万トンでしたが、2015年には3億8,100万トンに達しており、わずか70年ほどの間で200倍近くも増加しています。

プラスチックは分解に400〜1000年以上かかると言われています。プラスチックは時間が経てば微細な破片になりますが、直径数ミリ以下の「マイクロプラスチック」として海や川に漂い続けています。これは紫外線によるプラスチックの分解を検討した結果です。

プラスチックを本当の意味で分解するには、自然界に存在する微生物の働きで最終的にCO2と水に完全に分解されます。しかし、その割合は非常に少ないためほとんどが分解されないままになっています。

プラスチックを分解する微生物

プラスチックを分解する微生物には真菌とバクテリアがあります。以下の微生物が確認されています。

❶イデオネラ・サカイエンシス(Ideonella sakaiensis):

PET(ポリエチレンテレフタレート)を分解する能力を持つ細菌として、日本の研究チームによって発見されました。PETを、テレフタル酸とエチレングリコールという物質に分解します。

❷ビブリオ・ナトリエゲンス(Vibrio natriegens):

海水など塩分濃度が高い環境で生育できる微生物ですが、この菌が直接プラスチックを分解できるのではなく、❶のイデオネラ・サカイエンシスのプラスチック分解酵素遺伝子を組み込む事で、海洋中のプラスチックの分解に役立てるように開発された遺伝子組み換えの微生物を指します。

❸シュードモナス属(Pseudomonas spp.):

ポリエチレンやポリウレタンなど、さまざまな種類のプラスチックを分解する能力を持つ細菌です。自然界に広く分布しており、土壌や水、堆肥などから分離されています。

❹アルカニボラックス属(Alcanivorax spp.):

ポリプロピレンを分解する能力を持つ細菌です。海洋環境でプラスチックを分解する能力を持つことから、海洋プラスチック問題の解決に役立つと期待されています。

❺糸状菌(カビ):

特定の種類の糸状菌は、ポリウレタンなどのプラスチックを分解する能力を持つことが報告されています。土壌中で有機物を分解する役割を担っており、プラスチック分解にも貢献する可能性があります。

これらの微生物の研究が進むことが望まれますね。

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