カーボンニュートラルの切り札
2020年10月に菅元総理が2050年までに「カーボンニュートラル」を目指すことを宣言しています。
カーボンニュートラルとは温室効果ガスの排出を全体としてゼロとするというものですが、排出せざるをえなかった分については同じ量を「吸収」または「除去」することで、差し引きゼロを目指します。
日本が目指す「カーボンニュートラル」とは、CO2だけに限らず、メタン、N2O、フロンガスを含む「温室効果ガス」を対象にしたものです。
この高い目標を達成するための切り札として、今、「CCS」という技術が注目されています。
CCS
CCSとは、“Carbon dioxide Capture and Storage”の略で、CO2を「分離・回収(Capture)」し、「貯留(Storage)」する技術です。
脱炭素化が困難な火力発電所や製油所、製鉄所、化学工場、ごみ処理施設などから排出されるCO2を分離・回収し、貯留層と呼ばれる地下の安定した地層に閉じ込めることで、大気中に放出されるCO2を大幅に削減しようというものです。
カーボンニュートラルの達成に不可欠な技術として、世界中で研究開発、実証、および商業操業が進められています。
CCS,CCU,CCUS
「貯留(Storage)」せずに「有効活用(Utilization)」することはCCUと呼ばれます。
これはカーボンリサイクルとも呼ばれ、たとえば、再生可能エネルギー由来の水素と、分離・回収したCO2を化学反応させてメタンなどの化学原料を作れば、それをもとに化学製品を製造できるようになります。CO2を原料としてリサイクルすることで、大気中への放出を防ぐという技術です。
また、CCSに「有効利用」を加えたものは、CCUSと呼ばれます。
分離・回収したCO2を貯留層に圧入し貯留するだけでなく、圧入という用途で有効活用しようという考え方です。資源エネルギー分野では、分離・回収したCO2を油田の原油生産層に圧入することで、原油を回収しやすくする「原油増進回収(CO2-EOR)」などの技術に用いられてきました。
日本でも2030年のCCS事業化(操業開始)に向け実証試験や適地調査が活発に進んでいます。
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