天然ガスの成分
我が家でも都市ガスを利用していますが、都市ガス(天然ガス)の成分はメタンです。
このメタンを人工的に合成するのがメタネーションです。
水素と二酸化炭素を高温高圧の状態に置いた上でニッケルの触媒を用いると、メタンと水が生成できるのです。
この方法はサバティエ氏によって開発されましたが、1912年にノーベル化学賞を受賞されています。
しかし、この方法で実際にメタンの合成に成功したのは1995年です。
日本の橋本氏らがメタンをつくる実証プラントを建設。太陽光発電の電力を使い、水を電気分解して取り出した水素を用いて、世界初の合成メタンを製造しました。
原料は発電所や工場などから排出される二酸化炭素
原料は発電所や工場などから排出される二酸化炭素です。
この二酸化炭素はメタンに合成された後、住宅や工場などで使用されて二酸化炭素に戻ります。
発電所や工場から回収された量と、住宅や工場から排出された量が相殺されます。
その結果、合成メタンを利用しても、全体の二酸化炭素は増加しません。
メタネーションの必要性
元々、天然ガスは、石炭や石油に比べて燃焼した際の二酸化炭素の排出量が少ないという特徴があります。
石炭を100とした場合の天然ガスの二酸化炭素排出量は57と、約6割程度しかありません。
さらに、天然ガスの代わりに合成メタンを利用しても、供給する際には、都市ガスの導管やガス消費機器などの既存のインフラ設備を利用できます。そのため、費用をかけることなく合成メタンに移行できるメリットがあります。
メタネーションの課題
課題としては、メタン製造設備を大型化する必要があることが挙げられます。
メタネーションを商用化するためには、1~6万Nm3/hの製造能力が必要ですが、現時点で世界最大級といわれる装置でも500 Nm3/hです。将来的には、20~100倍の規模に拡大する必要があります。
また、コスト面で、水素と二酸化炭素を低価格で調達する必要があります。
課題もありますが、夢のある方法ですね。
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